大手ハウスメーカーの全館空調はどんな仕組み?専門家が解説!Part.2|埼玉の家づくりを応援

2026.06.10(更新)

大手ハウスメーカーの全館空調はどんな仕組み?専門家が解説!Part.2

Part.1にひきつづき、Part.2として異なるハウスメーカーの全館空調システムを解説していきます。
気になっているハウスメーカーの全館空調の費用感や、特徴などをわかりやすい形で紹介します。
今回とりあげるハウスメーカーは「セキスイハイム」「一条工務店」「ヤマト住建」の3社です。
それでは、早速要点からみていきましょう。

セキスイハイムの「快適エアリー」は床下に設置するエアコンで空調する仕組みの全館空調です
一条工務店の「全館さらぽか空調」はデシカント式ローターを活用し、季節に応じて除湿・加湿を行なうシステムとなっている一方、エアコンとは少し構造が異なることからエアコンの併用がおすすめ
ヤマト住建の全館空調「YUCACOシステム」は、大風量でエアコンの風を全館に行き渡らせるシステムで、温度を風量でカバーすることから高断熱住宅との相性がいい

 

1.セキスイハイムの全館空調


画像引用:セキスイハイム

価格 約120万円(1階のみ)~200万円(1・2階設置) ※目安
温調エリア フロアごと全館一定
エアコン 長府製作所製エアコン
換気の有無 ダクト式第1種全熱交換型換気併用あり
電気代の目安 公式での資料無し
(調査では月数千円〜2万円程度と一般的な全館空調の範囲内)
保証・アフター 保証期間は10年
ファミエス(アフター・リフォーム会社)での修理対応可
交換費用目安 公式での資料無し
※一部の口コミ(部品交換・修理):数万円〜数十万円

※2025年時点の公式ホームページ・調査情報を元に記載

セキスイハイムは昔から、全館空調に力をいれてきたハウスメーカーの1つです。
2009年に発売した快適エアリーは、同社のあったかハイム支える設備として長く人気がある全館空調システムです。
大きな特徴は2つあり、1つ目が給気時のフィルターボックスです。
外気を取り込む際に、3層の大きなフィルターボックスを介して、室内側に給気してきます。
特に2層目にあるHEPAフィルターで花粉などを99%以上除去し、さらにNoxフィルターで有害物質の少ない空気にします。
ただし、快適エアリーの空調機器と換気機器は、特に連携しているわけではなく、それぞれが独立して運転するシステムになっています。
2つ目の特徴は、1階は床下から暖かく室内の上下温度差がでにくい点です。
一般的な壁付けエアコンの場合、上から吹き出すことで特に冬においては暖かい空気を床付近に持っていきにくい側面があります。
しかし、快適エアリーの場合(1階)は、床下から吹き出すシステムのため、室内の温度が均一になりやすいです。
また、床下空間全体を暖めたい場合は、温水式の輻射熱方式の「新ウォームファクトリー」があります。

 

1-1.快適エアリーのメリット・デメリット


快適エアリーの主なメリットは、1階だけであれば床下に本体機器を収納でき、間取りの邪魔にならないことです。
セキスイハイムはユニット工法を採用しており、構造的に基礎下空間を広く活用しやすいことが元々の特徴で、快適エアリーはその特徴を活かして1階部分の空調機器を床下に入れています。
昨今は平屋や、1階に比重が高い間取りが人気となっていますが、間取りによっては間取りの制約なく全館空調ができます。
一方のデメリットは、将来的なメンテナンス・交換費用です。
一般的なハウジングエアコンなどを活用しているシステムであれば、おおよそのメンテナンス費用も検討がつきますが、快適エアリーは独自システムであることもあり修理交換費用は故障により様々でもあります。
一部のオーナー様の口コミからは数万円~数十万円となっており、通常の故障であれば一般的な全館空調やエアコンと同じ程度であると想定されますが、全交換の際に床下であることから大掛かりな工事が想定されます。

 

2. 一条工務店の全館空調


画像引用:一条工務店

価格 約50万円~(1.5万円〜2万円/坪)
※一部シリーズではロスガード90・うるるケアがオプション扱いで約10万円(1・2階設置)
温調エリア 全館一定
エアコン 独自システム
換気の有無 ダクト式第1種全熱交換型換気併用あり
電気代の目安 公式での資料無し
(調査では月数千円〜2万円程度と一般的な全館空調の範囲内)
保証・アフター 本体1年・冷却部5年
※10年分のロスガード90のフィルターが無料で提供
交換費用目安 公式での資料無し(デシカント交換等で数十万円はかかると想定)

※2025年時点の公式ホームページ・調査情報を元に記載

一条工務店の「全館さらぽか空調」はメーカーと共同開発した独自のシステムです。
デシカントローターが回転しながら温湿度調整するシステムとなっており、室内の温湿度・屋外の温湿度を熱交換しながら換気を行います。
夏は冷却と共に除湿を行ってから室内に空気を取り込み、冬は室内で加湿した湿気を再利用する形で外気に加温・加湿して取り込む方式となっています。
これにより全館の空気質が1年中、安定しやすくなっていることと、一条工務店の超高断熱仕様によって必要以上にエネルギーを使わないこととも相性がよい組み合わせでもあります。
さらに他の全館空調と大きく異なる部分は、床冷房・床暖房です。
床にパイプが張り巡らされており、夏は涼しい水によってひんやりとした空気質をつくり、冬は一般的な床暖房と同様に、床を暖めながら室内空気もあたためる方式です。
直接的なエアコンを使ったシステムとは少し異なっており、床からの輻射熱によって上下の温度差が少ないこともメリットの1つでしょう。
なお、全館さらぽかを採用しない場合には「ロスガード90うるケア」というシステムになります。
ロスガード90うるケアの場合、熱交換しながら換気を実施すると共に、自動加湿を行なう点が大きな特徴となっています。

 

2-1. 全館さらぽか空調のメリット・デメリット


メリットは、その導入コストの安さです。
一般的には100万円を超えるシステムに対し、「全館さらぽか空調」は坪単価加算になっており、一般的な30坪~35坪の家であれば50万円前後で導入できるわけです。
ただし、口コミなどをみているとベース冷暖房としての役割は果たすものの、急激に冷暖房する機能や個別の部屋の調整機能はないことから、地域の気候などに応じてエアコンが追加で必要になってくる点は留意して導入しましょう。
そして、デメリットをあげるとすれば2点あります。
1つは床冷房の感じ方、2つ目はうるケアとの併用不可という点ではないでしょうか。
輻射熱は比較的心地よく感じられる点がメリットでありますが、一般的な観点では足元を冷やすことはあまりおすすめできません。
一時的であれば涼しさを感じるものの、足元を冷やし続けることに対しては慎重に検討し、できれば展示場などで体感してみましょう。
さらに、ロスガード90うるケアという別の独自システムがありますが、これは加湿機能が付いた熱交換型の換気扇となっており、全館さらぽかと併用不可です。
さらに全館さらぽかは、デシカント式のため冬季は加湿・夏季は除湿をしますが、デシカント式は直接的に除加湿をしているわけではなく、空気中の水分を利用するシステムのため効果が期待通りでない可能性もあります。
一方、ロスガード90うるケアは除湿はしないものの、冬季の加湿は直接的な加湿であることから、加湿量はロスガード90うるケアの方が上であると想定されます。
そのため、オプション扱いとなっている全館さらぽかは、メリット・デメリットを実際に営業マンにしっかり確認しながら導入検討してみましょう。

 

3.ヤマト住建の全館空調「YUCACOシステム」


画像引用:ヤマト住建

価格 約150万円~200万円(断熱仕様のコストアップ含む)
※エアフローシステムであれば約50万円~100万円
温調エリア 全館一定
エアコン 壁付けエアコン
※ダイキン工業製または三菱電機製の商品を推奨
換気の有無 第1種全熱交換型換気併用あり
電気代の目安 年間では約2.6万円(1ヶ月平均 約2,189円)
※YUCACO公式ページ記載内容
保証・アフター 10年保証
※設備全般10年保証にYUCACO・Airフローシステム循環ファン含む
交換費用目安 数十万円程度と想定
※一般的な量産品を組み合わせているシステムのため、部品交換などは他の全館空調に比べて優位

※2025年時点の公式ホームページ・調査情報を元に記載

ヤマト住建は、YUCACOシステムという全館空調を採用しています。
空調室を設け、エアコンを1台配備して送風機で各部屋に温調された、新鮮な空気を供給するシステムです。
最大の特徴は、大風量で温度差を少なくする考え方の空調であることです。
特許もとっており、大風量小温度差空調で、住宅全体(屋根裏・床下含む)を均一な温度に保ち、家中どこにいても快適な温度を維持します。
ヤマト住建は高気密高断熱が特徴の会社でもありますが、一定以上の高気密高断熱を前提とするYUCACOと相性がいいわけです。
第1種熱交換システムも併用しており、熱交換で省エネかつ新鮮な空気を家じゅうに行き渡らせます。

 

3-1. ヤマト住建の全館空調のメリット・デメリット


ヤマト住建の全館空調のメリットは、その温度の安定性でしょう。
YUCACOシステムは大風量で空気を循環させるため、家の中の温度差がかなり少ないことが特徴です。
空調で温度を一定にさせるためには、風量を上げるか温度を調整するかの二択ですが、YUCACOは風量でカバーしており、空調としては理にかなった方法です。
さらに高断熱住宅で起こりがちな、夏場のサーモオフ問題も大風量で循環させていることで、サーモオフしにくく除湿もしやすい点も隠れたメリットと言えます。
一方、デメリットは空調室近くのファンの音ではないでしょうか。
口コミなどを見ていても、大風量をつくりだすファンがたくさん設置されているため、常時ファンの音がします。
空調室という閉ざされた空間のため、直接的には聞こえないものの、気になる方はぜひ展示場などで体感してみることをおすすめします。

 

4. まとめ

今回は、セキスイハイム・一条工務店・ヤマト住建の全館空調を分析・解説してきました。
どれも素晴らしいシステムではありますが、それぞれの費用感や特徴が異なります。
コストに目が行きがちですが、メンテナンス方法や感じる温度・音など、実際に足を運んで体感しないと分からないところをしっかり確認しましょう。
パート1でも紹介したハウスメーカーも含めて、イエタッタ埼玉では全館空調に詳しい・得意な会社も多く紹介しています。
ぜひ、イエタッタ埼玉の検索を活用して、お気に入りの会社を見つけてみましょう。

 

▼Part1の記事では「桧家住宅」「パナソニックホームズ」「三井ホーム」の全館空調をご紹介

 

▼執筆▼ 

家辞書/別所義浩

住宅専門コンサルタント
大手ハウスメーカー/大手住宅設備機器メーカーでの経歴を持つ
保有資格:宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー2級

 

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