C値(気密性能)はなぜ公表されないことが多い?施工力が問われる隙間|埼玉の家づくりを応援

2026.06.10(更新)

C値(気密性能)はなぜ公表されないことが多い?施工力が問われる隙間

公開日: 最終更新日:

昨今の家づくりにおいて「高気密・高断熱」という言葉は、もはや当たり前の基準になりつつあります。
しかし、断熱性能を示す「UA値」は多くの会社が公表している一方で、気密性能を示す「C値」については、明記されていないケースが少なくありません。
今回は、なぜC値が公表されにくいのかという業界の裏側や、これからの家づくりでC値がさらに重要視される理由について解説します。
埼玉県で新築を検討されている方にとって、住宅会社の「本当の施工力」を見極めるヒントになるでしょう。
それでは、まず今回のコラムの要点から見ていきましょう。

C値は設計上の計算ではなく「現場での実測」が必要なため、手間とコストがかかり公表を控える会社がある

・気密性能は職人の施工精度に直結するため、数値のバラつきを懸念してあえて伏せられているケースも少なくない

・高気密な家は「計画換気」を正しく機能させるために不可欠であり、結露防止や光熱費削減に大きく寄与する

断熱性能(UA値)だけ良くても、気密(C値)が悪ければ、穴の開いたダウンジャケットを着ているのと同じ

・一部の自治体では独自の気密基準を設け始めており、今後は全国的にC値の重要性が高まっていく

 

1. C値が公表されにくい「2つの物理的な理由」

住宅展示場やカタログで性能値を比較していると、UA値(断熱性能)は0.4や0.5といった具体的な数字が並んでいます。
一方で、C値については「高気密仕様」といった曖昧な表現に留まっていることがよくあります。
これには、C値という指標が持つ特殊な性質が関係しています。

 

1-1. 設計段階では算出できない「実測値」であること


UA値は、使う断熱材の種類や厚み、窓の性能をもとに、パソコン上の計算ソフトを使って図面上で算出することができます。
つまり、家が建つ前の契約段階で「この家の断熱性能はこの値です」と提示することが可能です。
一方、C値は実際に家を建てている途中で「気密測定器」という専用の機械を使い、建物にどれくらいの隙間があるかを測定して初めて出る数値です。
バズーカ砲のような送風機で屋内の空気を外に吐き出し(吸う方法もある)、その時の気圧差から隙間の大きさを割り出します。
これを行うには、専門業者による測定費用(数万円~10万円程度)がかかるほか、現場の手を止める必要もあります。

 

1-2. 施工の「バラつき」が数字に出てしまう


気密性能は、大工さんがどれだけ丁寧に隙間を塞いだか?という「施工精度」そのものです。
柱と梁の接合部、サッシの周り、配管が貫通する部分など、家には無数の隙間があります。
これらを気密テープや発泡ウレタンを使って、一つひとつ丁寧に埋めていく作業が必要です。
どんなに設計スペックが素晴らしくても、現場の職人の処理が甘ければ数値は悪くなってしまいます。
C値を公表している会社は、裏を返せば「どの職人が建てても高い精度を出せる」という自信の表れとも言えます。

 

2. C値(気密性能)が暮らしに与える本当の影響

さて、「隙間が少しあるくらいの方が、自然に空気が入れ替わって体に良いのではないか?」と誤解されている方も時折いらっしゃいます。
しかし、現代の高性能住宅において、意図しない隙間(=漏気)は、家の寿命や快適性を損なう大きな要因となります。
C値が悪いと具体的にどのような悪影響があるのか、詳しく見ていきましょう。

 

2-1. 換気が「ちゃんと」されない

現代の住宅は、法律で「24時間換気システム」の設置が義務付けられており、2時間で家中の空気がすべて入れ替わるように計算されています。
これを「ストローで飲み物を飲む」ことに例えてみましょう。
高気密な家は、穴のない綺麗なストローです。吸えばコップの底の飲み物までしっかり口に届きます。
これが換気でいうところの「部屋の隅々の汚れた空気までしっかり排出し、新鮮な空気を取り込む」状態です。
一方、気密性能が低い(隙間が多い)家は、途中にいくつも穴が開いたストローに例えられます。
一生懸命吸っても、手前の穴から空気ばかり入ってきて、肝心の飲み物(汚れた空気)は吸い上げられません。
これを換気の専門用語で「ショートサーキット」と呼び、結果として換気扇の近くの空気だけが回り、寝室やリビングの隅の空気は淀んだままになりかねません。
新鮮な空気を吸い、健康的に暮らすためには、反対に隙間を塞ぐことが大前提となります。

 

2-2. 内部結露と耐久性の関係

家の寿命を縮める最大の敵は「湿気」です。
冬場、室内の空気は暖房によって暖められ、加湿器などで湿気を含んでいます。
気密が悪いと、この暖かく湿った空気が壁の隙間から壁の中(断熱材の裏側など)に入り込みます
外壁に近い部分は外気で冷やされているため、入り込んだ湿気がそこで冷やされ、「内部結露」を起こします。
これが長期間続くと、断熱材がカビだらけになったり、最悪の場合は柱や土台といった構造材を腐らせたりします
目に見えない部分だからこそ、気密をしっかり取って「壁の中に湿気を入れないこと」が、家を30年、50年と長持ちさせるための鉄則です。

 

2-3. 魔法瓶とダウンジャケットの話

断熱性能(UA値)と気密性能(C値)は、よく「ダウンジャケット」に例えられます。
UA値が良いというのは、最高級の分厚いダウンジャケットを着ている状態です。
しかし、もしそのダウンジャケットの前のファスナーが全開であれば、冷たい風が吹き込み、暖かくありません。
この「ファスナーをしっかり閉める」ことが、C値を良くすることに相当します。
どんなに高性能な断熱材(分厚いダウン)を使っても、隙間(ファスナー全開)だらけでは、その性能は発揮されません。
光熱費を抑え、本当に「冬暖かく夏涼しい」家にするためには、断熱と気密はセットで考えなければ効果が半減してしまいます。

項目 高気密住宅(C値1.0以下) 一般的な住宅(C値2.0以上)
冷暖房効率 温度を保ちやすい 上下温度差が出やすい
換気効率 計画通りに家全体の空気が循環 換気扇の近くだけで空気が循環
壁内結露 リスクが低く、家が長持ちする 高リスクで、カビや腐食の原因になる
外部侵入物 花粉やPM2.5が入りにくい 隙間から花粉や砂埃が侵入しやすい

 

3. 自治体が定めるC値の「高位平準化」への流れ

これまで日本の省エネ基準では、C値の項目は事実上「ないモノ」とされた状態が続いています。
しかし、脱炭素社会の実現や、ヒートショックのない健康住宅へのニーズの高まりを受け、流れは大きく変わりつつあります。
国の一律基準を待たずして、先進的な自治体が独自の基準を設け始めています

 

3-1. 鳥取県や長野県などの先行事例

特に注目されているのが鳥取県の取り組みです。
独自の「とっとり健康省エネ住宅基準(NE-ST)」を策定し、補助金の要件などにおいて断熱性能だけでなく「C値1.0以下(推奨)」といった数値を明確に盛り込んでいます。
また、長野県や一部の北海道の自治体でも同様の動きが見られます。
公的な基準としてC値が明確化されることで、その地域で建てる住宅会社は「一定以上の施工精度」を証明することが求められるようになっていくでしょう
埼玉県においても、今後の法改正や自治体独自の取り組みによって、C値を公表して高位平準化が来ることは、そう遠くないのではないでしょうか。

 

4. 良い施工会社を見極めるための質問

それでは、具体的にどのようにして施工力の高い会社を見極めればよいのでしょうか。
モデルハウスや見学会で、営業担当者に以下を聞いてみて下さい。
「全棟気密測定を行っていますか?」
「平均のC値は1.0以下ですか?」
もっとも確実なのは、建てる家すべてで測定を行っている会社です。
全棟測っている会社は、職人も気密施工に慣れており、常に高いレベルで安定した品質を提供できる可能性が高いです。
また、目安のC値としては1.0以下を安定的に出せていれば、おおよそ合格点と言えます。
埼玉県でも、施工レベルの高い会社では0.5以下という会社も増えつつあります

 

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5. まとめ

家づくりにおける「気密性能(C値)」は、単なるスペック競争のための数字ではありません。
それは、家族の健康を守り、光熱費を抑え、そして大切な資産である家を長持ちさせるための「施工の品質保証」そのものです。
これから新築を検討される方は、断熱性能(UA値)と同じくらいに「誰がどのように建てるか」という施工品質(C値)に注目してみてください。
カタログの数値だけでなく、現場の実測値を大切にする会社こそが、あなたの理想の暮らしを叶えるパートナーとなるはずです。
ぜひ、イエタッタ埼玉を活用して施工精度の高い会社を見つけてください。

 

▼執筆▼ 

家辞書/別所義浩

住宅専門コンサルタント
大手ハウスメーカー/大手住宅設備機器メーカーでの経歴を持つ
保有資格:宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー2級

 

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