気になる!全館空調ってどんなシステム?概要と注意点を解説!

2026.06.10(更新)

気になる!全館空調ってどんなシステム?概要と注意点を解説!

今回は、多くの方が気になっている「全館空調」について、全体の概要をご紹介していきます。
快適で便利そう!と、新築時に導入したいと考えている方も少なくないでしょう。
そんな全館空調の大枠の部分と、気になる費用感や注意点なども解説していきます。
それでは、まず今回のコラムの要点から見ていきましょう。

・全館空調は、文字通りLDK・各居室・非居室を均一な温度に近づけるための空調システム

・全館空調と一言に言っても、大掛かりなシステムで構成されたものから、壁付けエアコン1台+αのシステムでカバーするものなど様々なシステムがある

・導入費用は50万円~300万円程度と、システムによって金額差が大きい

・もっとも大きな注意点は、システムごとのデメリットを理解した上で導入することで、結露のリスク・メンテナンス・家族間の室温の感じ方の違いなどがあげられる

・昨今の新築は断熱性・気密性が上がっており、個別空調でも十分に快適な空間をつくることができる

 

1.そもそも全館空調とは

全館空調は、文字通り家全体を1つの機器で空調を行うシステムを指します。
1階・2階といったフロアごとに空調を行うシステムもあったり、中には換気の機能を兼ねたシステムも存在していたりと多種多様です。
そんな全館空調は、直近の新築市場に導入されている機器を大きくとらえると、3つのシステムに分類されていきます。
1つが、大手ハウスメーカーなどで多く採用されているダクトで空調された空気を搬送するシステムです。
このパターンの場合、機器自体が大掛かりなシステムになっていることが多く、小屋裏に入れる場合や半帖~1帖ぐらいを占有する場合があります。
2つ目が、市販されているエアコン(壁付け・埋込タイプなど)や、搬送ファンなどを組み合わせて、住宅会社やフランチャイズによるオリジナルで構築しているシステムです。
3つ目は、もっともポピュラーな壁付けエアコンを、床下・2階ホールに設置するシステムです。
いずれのシステムもメリット・デメリットがありますので、その点を紹介していきます。

 

1-1. 大手ハウスメーカー等で使われている全館空調

メリット ・部屋の温度を安定させやすい
・ハウスメーカーのアフターがサポートしてくれる
デメリット ・機器サイズが大きいケースが多い
・導入コストが、他のシステムと比べて高いことが多い
・メンテナンスは建築したハウスメーカーのアフターのみにしか対応できないことがある

全館空調には色々なシステムがありますが、世間一般の方が想像する全館空調はこのシステムが一番近いのではないでしょうか。
比較的、空調機器自体が大きいことから、小屋裏・床下・収納スペースなどに埋め込まれていることが多く、見た目からも “全館空調感” が出ています。
このシステムのメリットは、温調された空気をダクトで各部屋へ運ぶため、全部屋で温度が安定しやすいことが特徴です。
各部屋の温度をある程度調整できる(高め・低め)システムもあり、立ち位置としては「高機能・高価格」という松竹梅で言う「松」の位置づけになることが多いです。
一方、デメリットとしてはコスト面で、100万円を超えるシステムが一般的であり、中には300万円近いシステムもあります。
換気機能を有している場合、空調だけのコストではないにしても、システム全体から見ると少し高い印象を受けることが多いですが、制御面では一番優れています。

 

1-2. 空調機器を組み合わせたオリジナル全館空調

メリット ・会社ごとにシステムが違い、比較検討できる
・導入コストは中ぐらい(約100万円〜)
デメリット ・システムによる効果の差が大きい
・施工・使用上における注意点がある場合もある

全館空調の中でも普及が進んでいるシステムで、性能に特化した住宅会社やフランチャイズで展開していることが多いシステムです。
壁付けエアコンや埋込形のエアコンと、本来換気扇として使われるファンなどを組み合わせて、温調された空気を循環させるシステムが主流です。
この循環される空気に、換気で取り入れた新鮮な空気を混ぜたりすることもあり、そのシステムには住宅会社の考え方や工法などが大きく関わっていることが多い印象です。
この2つ目のパターンの場合、導入コストは100万円前後から導入でき、1つ目のパターンに比べて比較的リーズナブルに導入できる点がメリットです。
また、その住宅会社独自の方法による工夫などが盛り込まれている場合もあり、断熱や構造躯体など住宅性能に知見が深い会社が採用していることが多い印象です。
一方、デメリットとしての側面はシステムによる差が大きいことから、実現できる温度差やメンテナンスに関する内容を理解した上で導入が必要となることが多い点ではないでしょうか。

 

1-3. 床下エアコンを使った全館空調

メリット ・導入コストがもっとも安価(50万円程度〜)
デメリット ・間取り・施工精度・地域の気候によるバラつきが大きい
・エアコンだけでは個室まで均一な温度になりにくい
・使用上の注意もある
・最低でも断熱等級6、気密性はC値1.0以下でないと効果が出にくい

住宅の高断熱化に伴い増加しているパターンが、床下にエアコンの風を送り込む形で家じゅうの基礎空調を行うものです。
これも住宅会社の工法などにより様々ですが、一般的には暖房用としてのエアコンを床下に、冷房用のエアコンを2階のホールなどに設置します。
この2台のエアコンを夏・冬で使い分け、各1台で全館分の面積をまかなう空調方式で、導入コストもエアコン2台+α程度で導入できます。
しかし、この床下エアコンだけで寝室・子どもなどの個室まで快適な温度にしようと思うと、正直かなりハードルが高いです。
他のシステムは、温調された空気を搬送しているため、ある程度は温度をコントロールしやすいですが、床下エアコンは個室まで熱がしっかり行きわたりにくく、ベース空調として活用される方が多い印象です。
そのため、結局は壁付けエアコンを個室に1台ずつ設置することになるケースもあります。
また、空調機器メーカーとしてこの使い方を推奨している会社は現時点ではなく、故障時の保証もメーカー側では対応が難しいケースが想定されます。
簡易的に導入できる一方、あまり期待しすぎると暑い・寒いといった後悔につながるケースもあるため、部屋のエアコンを併用することや、換気システムのスペック・日射量・地域の気候などと合わせて考える必要があります。

 

2. 全館空調を選ぶうえでの注意点

以上のように、全館空調と言えども幅広いシステムが存在します。
概ね、全館空調と言うシステムに共通する大きな注意点は、システムごとのデメリットを理解した上で導入することです。
空気の扱いは、熟練した住宅会社や設計士でも難しい箇所であり、断熱性・気密性・外気温・湿度・換気方式・ダクトの長さなど様々な要素が関連しています。
また、間取りによっても空調計画が組みやすい間取りと、そうでない間取りがあります。
空調に関連するレベルの高い経験・知識が要求される点も、全館空調が新築市場で大多数にならない要素でもあります。
特に空調には結露などのリスクだけでなく、メンテナンスであったり家族間の感じ方の違いがあったりすることから、しっかり住宅会社の話を聞いて判断することが賢明と言えます。

 

3. 高断熱住宅と空調との相性

一年中、全館で快適な温度で暮らしたいというニーズは昔から根強いです。
そんな中、昨今の新築は大手〜地元の住宅会社に至るまで、断熱性・気密性が全体的に向上してきています。
そのため、一般的な壁付けエアコンなどの個別空調でも、十分に快適な空間をつくることができます。
全館空調として空調機器が埋め込まれていると、デザイン性などを高めやすくなりますが、複雑になることに懸念がある方や、メンテナンス・入替が心配な方は個別空調を選んでも十分満足できる空間は実現できるでしょう。
特に、今お住まいの中で冷房・暖房の設定温度による違和感が家族間で発生している方は、むしろ個別空調の方がよいでしょう。
必ずしも全館空調の方が「優れている」わけではない点も留意しながら、広い視点を持って家づくりをすすめることが最も賢明ではないでしょうか。

 

4.まとめ

イエタッタ埼玉でご紹介している住宅会社の中には、全館空調を採用している会社も多くあります。
全館空調の場合は、洗面所や玄関などの非居室も均一な温度になりやすい一方、住宅自体の性能にも左右されることや、今回のコラムで紹介したような注意点も存在する点を知っておくとよいでしょう。
機器自体の比較検討も大事ですが、そもそもなぜ全館空調がほしいのか?
例えば、洗面所を暖かくしたい!玄関から暖かい家がいい!デザインを重視して空調を隠したい!などのご家族のニーズを改めて考えてみるとよいでしょう。

昨今は、どこの住宅会社でも「全館空調のようなこと」は可能でしょう。

しかし、そこにはメリットだけでなくデメリットも存在する点と、ご家族のニーズ・費用・メンテナンス性を掛け合わせて考えていくと失敗しにくくなるのではないでしょうか。

 

▼執筆▼ 

家辞書/別所義浩

住宅専門コンサルタント
大手ハウスメーカー/大手住宅設備機器メーカーでの経歴を持つ
保有資格:宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー2級

 

工務店・ハウスメーカーの一覧はこちらから

施工事例の一覧はこちらから

カテゴリー一覧