国が2050年を見据えた住宅政策の方向性を議論中!これから戸建住宅を購入する人が知っておくべきポイント|埼玉の家づくりを応援
2026.06.10(更新)
2026.06.10(更新)
国が2050年を見据えた住宅政策の方向性を議論中!これから戸建住宅を購入する人が知っておくべきポイント

住宅業界では2025年10月現在、2050年の住まいや暮らし方の方向性を示す新しいプラン(住生活基本計画)についての議論が佳境を迎えています。
少子高齢化や人口減少、単身世帯の増加、大工などの担い手不足などの今後の住まいや暮らしに影響を与えるさまざまな要素に対して、どうすれば安全・安心に暮らせる社会が実現できるか、このプランで課題や支援の方向性などを示そうとしています。
今回の計画では、新築から住み始めてからの維持管理、リフォーム、そしてライフスタイルの変化に応じた住替え、売却、終の棲家の確保まで、幅広い視点での方向性が示されました。
この計画を読み解くことで、政府や住宅業界、住まいそのものが、これからどこを目指そうとしているのか、その輪郭を掴むことが出来ます。
本コラムでは、2026年3月末に決定予定の「新しい住生活基本計画」について、これから戸建住宅を購入する人向けにわかりやすく紹介します。

住生活基本計画は、法律(住生活基本法)に基づき、私たち国民の住まいや暮らしに関する安全・安心の確保や、より良いものにしていくための今後の方向性を示したものです。
この計画は、国が策定する「全国計画」と、埼玉県やさいたま市などの地方自治体が地域の実情に応じて目標や対応策を定める地域計画があります。
2025年度は5年に一度の見直しの年となっており、現在、国土交通省が住宅関連の専門家を集め、2026年度から2030年度までを対象とする新しい計画を1年以上かけて議論しており、9月にこれまでの議論の中間とりまとめが行われました。
この報告書を読み解くと、新しい計画の主なポイントがみえてきます。
新しい計画のキーワードは「持ち家が引き継がれる市場環境の形成」です。

新しい住生活基本計画の中間取りまとめ案では、現在の住まいや暮らしの課題を「住まうヒト」、「住まうモノ」、「住まいを支えるプレイヤー」の3つの視点から、11項目の具体的なトピックスを掲げています。
さらに、それぞれの項目ごとに、2050年に目指す住生活の姿、当面10年で取り組む施策の方向性、具体施策、指標を示しました。
この計画は専門的な用語が多く内容も多岐にわたるので、ここで示された全11項目のトピックスのうち、これから新築戸建住宅の購入を検討する人に関係が深い8項目について紹介します。
◎人生100年時代を見据え、高齢者が孤立せず、希望する住生活を実現できる環境整備
■住替えを希望する高齢者が円滑に住み替えられる市場環境の整備、高齢者が安心して健康に生活できる住宅の整備、リフォームによる性能向上の促進
■高齢期に住替えや返済負担の軽減が可能な住宅ローンの提供
■良質な高齢者向けの住まいの整備促進、住宅のバリアフリー化や医療面でも効果が期待される温熱環境改善に資する省エネリフォームなどの推進
◎若年世帯や子育て世帯が希望する住まいを確保できる社会の実現
■比較的利便性の良い既成住宅地における相続空き家等が若年・子育て世帯等へ循環する市場環境の整備等を通じた、若年・子育て世帯に向けた低廉で良質な住まいの確保・充実
■子育て世帯における多様な住まい方・働き方を踏まえた職住近接・育住近接、三世代同居や近居、二地域居住等、それぞれの居住者が希望する子育てをしやすい居住環境の実現
■子育て世帯に向けた広さや間取り、機能、安全性、遮音性などが考慮された三世代同居対応や子育て対応リフォームの実施、子育て支援施設や医療施設等との併設、テレワークスペースの設置などの生活利便性の向上の推進
◎過度な負担なく希望する住生活を実現できる環境整備
■都市部を中心に居住する中所得者層や子育て世帯などが、比較的手頃な価格で購入・賃借できる良質な住まいの供給の推進
■使用されない相続空き家が取引対象として市場で流通していくための円滑な相続が行われる環境の整備
■現下の住宅取得環境を踏まえた住宅取得負担の軽減や、住宅取得に向けた頭金等の積立への支援等の住宅取得を支援する新たな手法の検討
◎多世代にわたり活用される住宅ストックの形成
■耐震性・省エネ性能・バリアフリー性能など、持家・借家双方の住宅ストックの性能向上の更なる推
■住宅ストックの更新・再生を円滑化するための関連制度の見直し等の実施
◎住宅ストックの性能や利用価値が市場で1 適正に評価され、循環するシステムの構築
■売却・賃貸時を見据えた所有者等による点検・リフォームなどの適切な維持管理の推進や、維持管理に着目した住宅ローンの提供
■リフォーム履歴や性能、維持管理の状況等の開示など、安心して既存住宅が取引される市場環境の整備
■既存住宅における修繕費や除却費、追加投資額等の見える化による売却時の判断につながる情報の提供
■リフォーム等による耐用年数増加など、持家・借家双方における性能向上・利用価値が評価される仕組みの普及に向けた検討
◎住宅の誕生から終末期まで切れ目のない適切な管理・再生・活用・除却の一体的推進
■建物所有者が空き家化する前に自発的に管理・再生・活用・除却等を行うことができる環境の整備、所有者不明の空き家への対策の推進
■地域の空間資源として利用価値のある住宅における利便性等を向上させるリフォーム等の促進
◎持続可能で多様なライフスタイルに対応可能な住宅地の形成
■住宅ストックの円滑な承継・活用を促すための規律とインセンティブに関する取組の推進
■関係人口の増加や地域コミュニティの活性化、産業創出に資する移住・二地域居住等の推進
◎頻発・激甚化する災害に対応した安全な住環境の整備
■空き地や空き家等の既存ストックも活用した災害ハザードエリアからの移転の支援
■防災機能・レジリエンス機能を有する住宅・住宅市街地の整備への支援

全体の方向性としては、若年世帯や子育て世帯から高齢者、単身世帯、何らかの事情によって住まいの確保が困難な人(住宅確保要配慮者)まで、すべての人を対象に、それぞれが望む住まいを確保できる社会の実現を目指した内容となっています。
その実現の方法としては、戸建住宅だけでなく集合住宅や賃貸住宅、公営住宅などの多様な選択肢に加えて、新築だけでなく空き家や既存住宅の売買なども活用する内容としています。
さらに、この計画案で強調しているのが、「住宅を住み継ぐ」という考え方です。
国は2050年に目指す姿として「一生に何度でも住みかえられる住宅循環システムの構築を目指す」としています。
結婚や子育てを機に購入した住宅を、約20年後に子どもが巣立ち、子育てを終えたときに次の子育て家族へと譲る。
その際に、「キッチンやお風呂、トイレなどの水回り設備がリフォームなどで最新の機器に交換した住宅」「断熱リフォームやバリアフリー対応などで性能が向上した住宅」「定期的な点検を受けて住宅の柱や屋根などに不備がないと判断される適切に維持管理された住宅」「駅や学校、スーパーなどが近くて便利な住宅」などについては、「しっかりとその価値を評価する」仕組みの検討や構築を急ぐべきとしています。

これまでの戸建住宅の資産価値は、新築時をピークに建物の法定耐用年数に応じて年々減っていき、30年を過ぎると建物の価値はほぼなくなるような状態でした。
「誰がどのような住宅を建てたのか、その後どのように使い、どのように修理・リフォームをしたのか、よくわからない住宅は評価できない」というのが理由でしょう。
住宅の資産価値は、壁の中の柱や床下の基礎、天井、屋根裏など、見えない部分の品質がきちんと正確に把握できなければ、正しく評価できません。
どこの事業者が住宅を建てて、いつ、だれが、どのような点検をし、どのような補修や修理、設備交換を行ったのか、新築時は設計図どおりに施工されているか――。
これらの情報について、住宅の所有者と販売事業者、そして新たに住宅を購入する人、さらに購入費用を貸し出す金融機関など、取引に関わるすべての関係者が確認・納得できて、はじめて住宅の価値が適正に評価されたといえるでしょう。
住生活基本計画について議論する委員会では、中古車販売が定着している自動車業界の取り組みを参考に「点検や修理などの履歴情報が蓄積される住宅版の車検制度の検討も必要ではないか」という意見も出ています。
この計画で触れているような住宅循環システムがいつ頃スタートするかはまだ不明ですが、国がその方向を目指しているのは間違いありません。
また、「住宅が循環する社会」の実現には、適切な維持管理とその履歴情報の蓄積が欠かせません。
「住宅は資産」という考えが広がれば、住宅を持つ(購入する)という行為がもっと身近になるでしょう。
そして、大切な住宅を適切に維持管理するための方法については、住宅メーカーや工務店が住宅を建てた後もしっかりサポートしてくれるはずです。
住まいや暮らし、ハウスメーカーや住宅設備メーカー、地域工務店、行政、自治体まで、住宅に関するあらゆるニュースを幅広く取り上げます。