収納特集① シューズクローク?箱形?玄関まわりの収納術の特徴解説|埼玉の家づくりを応援
2026.06.10(更新)
2026.06.10(更新)
収納特集① シューズクローク?箱形?玄関まわりの収納術の特徴解説
公開日: 最終更新日:
「収納」は、新築を考えている方の多くが気になっているキーワードではないでしょうか。
新築で気になる部位別に、収納に関する知っておくとよいポイントを解説していきます。
今回は玄関に関する収納を特集していきます。
それでは早速、今回のコラムの要点から見ていきましょう。
・断熱性能の向上によって、玄関=暑い・寒い、という負のイメージではなくなっており、昔に比べてオープンに使える場所となっている
・玄関収納の主流は「クローク型の収納」になっており、その背景には靴だけでなく様々なモノを収納したいニーズがある
・クローク型にする場合、建物全体の床面積が増えるため、プランニングを工夫しないと単純にコストアップになってしまう点が注意点
・従来の箱形(ボックス型)の収納形態は、玄関スペースを最小限に抑えることができ、建築費用全体を抑える効果がもっとも魅力
・ボックス型を応用した形で、コンパクトなクロークタイプの収納にすることもできるため、収納したいモノと建築費用全体のバランスから考えよう

かつての玄関は、「冬は寒く、夏は暑い場所」というイメージが強くありました。
しかし、近年の住宅性能の向上によってその常識は大きく変わりつつあります。
断熱性能や気密性能の向上により、玄関が外気温の影響を受けにくくなり、快適な温熱環境を保ちやすくなりました。
その結果、玄関は閉じた場所というよりも、オープンな場所としての役割が広がっています。
特にアウトドアやキャンプ、自転車・ベビーカーなど外で使う道具を持つ家庭が増えたことで、玄関まわりは単なる靴の置き場ではなく、外と内の間にある「中間領域」としての機能が求められるようになりました。
その象徴が「シューズクローク(玄関クローク)」です。

出典:窓からの景色を楽しむ外と繋がる平屋|ポラスグループ/体感すまいパーク東浦和
シューズクロークとは、玄関に隣接して靴や傘、コートなどをまとめて収納できる小部屋型の収納スペースのことです。
従来の下駄箱収納に比べ、より多目的に使える空間として近年は多くの新築で採用されています。
靴以外にも、傘・上着・ベビーカー・ゴルフバッグ・掃除道具・アウトドア用品など、生活にまつわる外まわりのモノを一か所にまとめておける利便性が人気の理由です。
ただし、クローク型収納を取り入れる場合は、建物の床面積が増える=コストアップにつながるため、無計画に広げるのは禁物です。
玄関収納は「広ければよい」ではなく、「何を、どのくらい収納するか」を明確にしたうえで計画することが肝心です。

まず大前提として、収納するモノを整理することが設計の第一歩です。
どんなに立派な収納を作っても、収納する対象があいまいなままでは、結果的に使いづらくなってしまいます。
家族全員の靴の数・使用頻度・季節物・アウトドア用品・工具など、実際に収納する物量を把握して、設計士に伝えることでムダのない収納に近づきます。

出典:【大人気!】ナチュラル・ヴィンテージが心地よい 「二世帯住宅 ✕ 平屋」の住まい|イデアホーム
特にクローク型収納を採用するなら、棚は可動式の棚にしておくのが基本です。
靴・傘などの量が変わることはもちろん、使いながらアレンジしていく過程で、棚の高さ・棚の本数を自由に変えられると柔軟に対応できます。
長靴・ブーツ・ベビーカー・スーツケースなど、高さのあるものを想定して、棚を一段抜いたり増やしたりできる実用的な点が人気のポイントです。
また、棚材は耐水性・耐汚性に優れた素材(メラミン化粧板など)を選ぶことで、泥汚れや濡れにも強くなります。

玄関収納で意外と見落とされやすいのが「ニオイ対策」です。
クローク型で閉じた空間になる場合、靴の湿気やペット用品などの臭気がこもりやすくなります。
そのため、換気扇を設置するとよいでしょう。
玄関クロークは建築基準上「非居室」扱いのため、法的に換気設備の設置義務はありませんが、実際には後から「においがこもる」「湿気が抜けない」と後悔するケースが多く見られます。
最近では換気扇だけでなく、プラズマクラスター・ナノイーXなどの除菌・消臭システムを組み合わせる事例も増えています。
また、壁材に調湿・消臭機能を持つ「珪藻土」や「エコカラット」をデザインのアクセントを兼ねて採用するのもよいでしょう。

出典:子どもの将来まで見据えたこだわりの設計 | 株式会社一条工務店
玄関は法的には居室ではないため、設計によっては採光義務はありません。
しかし、自然光が入るだけで印象は大きく変わります。
おすすめは、地窓やスリット窓を設けて、低い位置から光を取り入れる方法です。
また、玄関ドアを開けたとき、正面や奥に視線が抜けるような窓配置にすると、空間が広く感じられます。
閉鎖的で暗い玄関よりも、明るく抜けのある玄関の方が、心理的にも「帰ってきた心地よさ」を感じられるものです。
特にクローク型収納を設ける場合は、開閉できる小窓を設けておくと湿気・カビ対策にもなります。

意外と後悔が多いのが、「玄関にコンセントをつけ忘れた」という声です。
最近では、電動自転車のバッテリー充電やアウトドア用品など、玄関で電源を使うシーンが増えています。
最低でも、どこか1か所にコンセントを設けておくと、将来的に何か生活様式が変わるようなことがあっても便利です。

出典:【お客様の声】個性的なインテリアが魅力的な開放感あふれる吹き抜けリビングのある家|彩ハウス(株式会社いのうえ工務店)
クローク型玄関収納とは、玄関ホールとは別に収納専用の小部屋を設けたスタイルを指します。
最近では「シューズインクローゼット」や「土間収納」と呼ばれることもあります。
メリット
収納力が圧倒的に高い:靴だけでなくコート・傘・アウトドア用品・ベビーカー・工具などもまとめて収納可能
通り抜け動線が取れる:玄関→クローク→室内とスムーズにアクセスでき、帰宅後の片付けがラク
来客時に生活感を隠せる:玄関ホールが常にすっきり保てる
整理整頓の習慣がつく:用途別にゾーニングしやすく、家族全員で使いやすい
デメリット
建築コストが上がる:収納として独立した空間を確保するため、床面積が増える
動線計画が難しくなる:位置や通り抜け方を誤ると、かえって使いにくくなる
換気・照明計画が必要:閉じた空間のため、湿気・ニオイ・暗さに配慮が必要

出典:大胆なアイデアで叶えたリゾートモダンな住まい|セナリオハウス(広島建設株式会社)
目安としては、2帖~3帖程度の広さを確保すると快適に使えます。
1帖なら最低限の靴+傘+掃除用具が置ける程度となり、2帖以上になると、ベビーカーや季節用品も収納でき、さらに通り抜け動線を確保しやすくなります。
玄関ホールからの見え方も大切です。
扉や格子、半透明の間仕切りなどで見せすぎず、隠しすぎないバランスを取ると、デザイン的にも美しく仕上がります。

一方で、従来からある「ボックス型収納(下駄箱収納)」も依然として根強い人気があります。
メリット
省スペースで設置可能:玄関に直接設けるため、床面積を最小限に抑えられる
コストが安い:造作クロークに比べ、建築費全体を抑えやすい
壁面収納でデザインを整えやすい:建材メーカーの素材や色で内装を統一できる
玄関カウンターとしても使える:カギや印鑑などを置いておく場所として最適
デメリット
収納量が限られる:靴以外のアイテムは収納しづらい
玄関に生活感が出やすい:玄関扉から入ったとき、収納部が飛び出している
大型荷物に対応できない:ベビーカーやアウトドア用品などは収納できない
匂いが内部にこもりやすい

出典:シューズインクローゼットのあるお家|株式会社オレンジホーム企画
ただし、最近ではこのボックス型を応用した“コンパクトクローク”という形(上図では左のような扉で隠せる形状)も人気です。
玄関の一角に奥行60~90cmほどのスペースを確保し、扉を設けて収納を隠す形です。
この設計であれば、コストを抑えながらもクローク型に近い使い勝手を実現できます。
玄関収納は、単に「靴をしまう場所」ではなく、暮らしのリズムを整える場所です。
朝の出発・夜の帰宅・来客時など、日常の多くのシーンで使う場所だからこそ、計画の丁寧さが後の満足度を左右します。
収納で共通する重要なポイントは、家族の暮らし方に合わせて、必要なものを必要なだけ、無理なく収めることが「ちょうどいい玄関収納」をつくるための第一歩です。
今回は、イエタッタ埼玉で紹介している住宅会社の事例も交えてお伝えしてきましたが、ぜひ今回の内容を参考に、美しく機能的な玄関にしてください。
▼執筆▼
住宅専門コンサルタント
大手ハウスメーカー/大手住宅設備機器メーカーでの経歴を持つ
保有資格:宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー2級