「GX志向型住宅」の要件にもある「一次エネルギー削減率」って何?|埼玉の家づくりを応援

2026.06.10(更新)

「GX志向型住宅」の要件にもある「一次エネルギー削減率」って何?

太陽光発電などを搭載した住宅のイラスト

2025年の新しい住宅取得支援制度「子育てグリーン住宅支援事業」が、住宅取得検討者からの注目を集めています。
なかでも、最大160万円の補助金が得られる「GX志向型住宅」についてはハウスメーカーや工務店の関心も高く、これから多くの住宅事業者が「GX志向型住宅」に対応した住宅をアピールすることになるでしょう。
過去のコラム(「GX志向型住宅」とは?ZEHより高要件だが最大160万円の補助金支援あり)でも紹介しましたが、GX志向型住宅は新築住宅のスタンダードとなった「ZEH」を大きく上回る断熱性と省エネ性が求められます。
特に注意しなければならないのが「一次エネルギー消費量削減率」(一次エネルギー消費量削減率=BEI)。
細かい要件の確認や計算などは、ハウスメーカーや工務店の設計担当者が対応してくれるはずです。
しかし、住宅を発注・購入する立場として、「GX志向型住宅」はどのような性能が求められているのか、事前に知っておくのも良いでしょう。
今回は一次エネルギー消費量と省エネ設備などについて簡単に紹介します。

-INDEX-

「GX志向型住宅」はどのくらい難しい?

一次エネルギー消費量、削減率とは

一次エネ消費量削減に貢献する設備機器

BEI≦0.65を達成する2つのポイント

 

「GX志向型住宅」はどのくらい難しい?

令和4年と5年の一次エネルギー消費量削減率のグラフ

出典:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス実証事業 調査発表会 2024

住宅業界関係者からは、ZEHの要件を大幅に上回る「超ZEH」とも呼ばれる「GX志向型住宅」。
直近で基準を満たしている住宅はどのくらいあるのでしょうか。

ZEHなどの省エネ関連の補助金窓口となっている団体(環境共創イニシアチブ)が取りまとめた2023年度のZEH補助制度実績報告書によると、2023年度にZEHの補助金交付が確定した住宅7458件の一次エネ消費量削減率の平均を調べたところ、ZEH支援事業分が29.1%、より高い断熱性能と高度なエネルギーマネジメントシステム(HEMS)などを導入したZEH+分が35.6%となりました。

一次エネ消費量削減率だけをみた場合、ZEH支援事業でGX志向型住宅の要件を満たしている住宅は、わずか15%しかありませんでした。
ZEH+でも約6割がGX志向型住宅の要件でもある35%以上削減をクリアできていません。

つまり、従来の仕様や設備、設計では、「大半の住宅は『GX志向型住宅』の一次エネ消費量削減率の要件をクリアできない」ということになります。

最近のハウスメーカーや工務店は、断熱等級6を標準仕様とするケースも多く、課題は「一次エネ消費量削減率の向上」としています。
ただし「ハードルは高いが、より省エネ性能の高い設備機器の採用や断熱性能の強化、設計の工夫などで十分対応可能。追加費用も補助金の160万円の範囲内で収まるだろう」との認識を示しています。

 

一次エネルギー消費量、削減率とは

一次エネルギー消費量とは、住宅内の冷暖房、換気、給湯、照明といった設備が年間に使うエネルギー量を、すべて熱量の単位である「J(ジュール)」に換算して算出するものです。
電気(W)やガス(㎥)といった異なる単位で使われるエネルギーを共通の基準に揃えることで、省エネ性能を数値で比較できるようになります。
また、太陽光発電などで創り出したエネルギーがある場合は、先ほどの一次エネルギー消費量の合計値から創り出したエネルギー量を引いた値が一次エネルギー消費量となります
このように「どれだけ消費し、どれだけ創出できるか」を総合的に捉えることが、省エネ性能の高い住宅設計において重要になります。
2020年度家庭のエネルギー消費量の用途別割合の円グラフ

出典:国土交通省HP

ちなみに、家庭のエネルギー消費量で最も多いのが、動力・照明などに使われるエネルギーで、全体の約3分の1(34.0%)を占めています。
次に多いのが給湯用のエネルギーで27.8%、暖房用の25.1%などが続きます。
冷房用は意外と少なく、2.4%となっています。
そのため、給湯と暖房に使うエネルギーの削減が重要ということがわかるかと思います。

 一次エネルギー消費量算出の計算図出典:国土交通省HP

一次エネルギー消費量を減らすには、住宅で使う設備機器などをより省エネ性能の高いものを選ぶのが最も簡単な方法です。
加えて、エアコンの冷暖房効率を高めるために断熱性能を高めることも、一次エネルギー消費量を減らすのに有効な手段のひとつです。

 

次に、一次エネ消費量削減率についてみてみましょう。
GX志向型住宅の要件では、再生エネルギーを除く一次エネ消費量削減率が35%以上(BEI≦0.65)。
これは、省エネ対策をなにもしていない標準的な住宅の一次エネ消費量(基準一次エネ消費量)と比べて、消費エネルギーを35%以上削減する必要があるということです。

基準一次エネ消費量は、住宅が建つ地域や大きさ、間取りなどによって変わります。
施主の要望によって間取りなどが変わりやすい注文住宅では、削減率を算出するための基準一次エネルギー消費量が変わるため「GX志向型住宅に対応」と言い切れない難しさがあるようです。

 

一次エネルギー消費量削減に貢献する設備機器

一次エネルギー消費量を削減するには、省エネ性能の高い設備機器を採用する必要があります。
冷暖房設備、換気設備、給湯設備、照明設備について、代表的なものをみてみましょう。

冷暖房設備

エアコンの写真
冷暖房設備は、ルームエアコンのエネルギー消費効率の高いものを選びましょう。
カタログには、通年エネルギー消費効率(APF)が表示されているケースも多いでしょう。
一次エネルギー消費量を計算する際は、エネルギー消費効率は、(い)(ろ)(は)の3段階で区分されており、(い)が最も消費効率が高いエアコンとなります。

換気設備

換気設備の写真
住宅は、室内の空気を2時間で1回、計画的に入れ換える必要があります。
この換気設備で使用するエネルギーを抑えることが一次エネルギー消費量の削減に貢献します。
例えば、換気設備の電力は交流(AC)よりも直流(DC)のほうが消費電力は小さくなります。

給湯設備

エコキュートの写真

給湯設備には、ガス式・電気式・石油式などの燃料の違いに加えて、潜熱回収型やヒートポンプ式、ハイブリッド式、燃料電池式といった方式の違いもあり、エネルギーの使い方に合わせて多様な選択肢があります。
それぞれの方式で省エネ性能に優れた機種が展開されており、ライフスタイルや導入環境に応じて選ぶことが重要です。

主な給湯方式の特徴は以下の通りです。

名称 熱源・燃料 方式 特徴 貯湯タンク 発電機能 太陽光との相性
エコジョーズ ガス 瞬間式 排気熱(潜熱)を再利用して高効率にお湯を沸かす なし なし
エコフィール 石油 瞬間式 石油式の潜熱回収型。エコジョーズと同様の仕組み なし なし
エコキュート 電気(ヒートポンプ) 貯湯式 大気熱を取り込みお湯を沸かす。太陽光と相性◎ あり なし
ハイブリッド 電気+ガス 貯湯+瞬間式 ヒートポンプとガスの併用。効率よく少量貯湯が可能 小タンク なし
エネファーム ガス 発電+給湯 ガスから電気とお湯を同時に生み出す燃料電池型 あり あり

エコジョーズやエコフィールは必要なときにお湯を沸かす瞬間式で、排気熱を再利用する高効率タイプです。
エコキュートは電気を使ってお湯を貯めておく方式で、太陽光発電と相性がよく、自家消費型の住宅で導入が進んでいます。
ハイブリッド型は貯湯と瞬間のいいとこ取りで、タンクは小さくても不足分をガスでカバー。
エネファームは電気もお湯も同時に生み出すため、エネルギー効率の高さが魅力です。

2023年度のZEH補助金利用住宅では、エコキュートが73.5%と最多で、エコジョーズが13.6%、エネファームが7.5%という結果でした。
再エネ活用のしやすさがエコキュート人気の理由といえるでしょう。

さらに、給湯効率の改善に加え、お湯の「使い方」にも注目が必要です。
止水ボタン付きのシャワーや省湯水栓、断熱性能の高い浴槽などを取り入れることで、一次エネルギー消費量のさらなる削減が可能になります。

照明設備

蛍光灯からLEDに変更した照明
照明設備は、LEDの採用が一次エネ消費量削減につながります。
LEDの消費電力は、白熱電球と比べて約8分の1、蛍光灯と比べても約3分の1と圧倒的な省エネ性能を誇ります。
さらに、調光機能で明るくしすぎない、人感センサーで照明の切り忘れを防ぐ、リビングなどの広い部屋では小さなLEDの照明機器を分散配置して必要な場所だけを照らすようにする――などの照明計画の工夫も一次エネルギー消費量削減に貢献します。

 

BEI≦0.65を達成する2つのポイント

一次エネルギー消費量削減率(BEI)を下げるには、省エネ性能の高い設備機器を採用することと、住宅そのものの断熱性能を高める2つの方法があります。
例えば、BEI=8.0(一次エネルギー消費量削減率20%)程度であれば、現在主流となりつつあるZEH相当の断熱性能(断熱等級5)と省エネ設備機器を採用することで達成可能です。
しかし、GX志向型住宅の要件のひとつでもある「BEI≦0.65」(一次エネルギー消費量削減率35%以上)を満たすためには、断熱性能と省エネ設備機器のどちらか一方だけの対策では不十分となる可能性が高いでしょう。
「高断熱化+省エネ設備機器」の両方のレベルを高めることが重要です。

 

執筆: 住宅産業新聞社のロゴ

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